「中医学の視点で読み解く健康:望診を通じた身体と心の観察法」

鍼灸師が見ている望診による身体と心の観察

望診は、中医学で行う診断の一つで、視覚を使って患者の全身状態を観察する方法です。

ここでは、鍼灸師が具体的にどのような点を見ているのか、望診の重要な観察ポイントについてお話します。

観察の主な項目

望診では以下のような項目をチェックし、体の内外の状態を読み取ります。

• 神(しん):精神や活力の様子を見て、元気さや気力を確認します。
• 色(しょく):顔色の鮮やかさや輝きから、血行や健康状態を読み取ります。
• 形(けい):体型や姿勢から、体全体のバランスや健康度を確認します。
• 態(たい):体勢や動きの癖なども含めて、筋肉や骨の状態を把握します。
• 五感と舌:舌の色、厚さ、表面の状態や形状を観察し、体内の調和を確認します。

五臓と身体の関連

五臓(肝・心・脾・肺・腎)はそれぞれの器官や部位に反映され、以下のような特徴から体調を推測します:
• 心:心は舌や顔に表れます。顔色や舌の色で、心の健康や精神状態を判断します。
• 肝:肝は目や爪に反映されます。目の輝きや爪の状態で、肝の働きをチェックします。
• 脾:脾は口や唇に関連し、口内や唇の色から消化器系の調子を判断します。
• 肺:肺は鼻や皮膚に表れます。鼻や皮膚の潤いを見て、肺の機能や呼吸器系の健康を確認します。
• 腎:腎は耳や髪に反映され、耳の色や髪質で腎の働きやエネルギーの状態を推測します。

 

観察の具体的なポイント

1. 精・気・神の観察
精(体力)、気(エネルギー)、神(精神)は、五臓六腑の状態を外に反映しており、以下の点をチェックします:
• 目がぼんやりしていないか
• 気力や意欲があるか
• 落ち込みやすくなっていないか、怒りっぽくないか

2. 体の姿勢の観察
骨格や筋肉の状態を見て、体全体の姿勢や動きが自然であるかどうか確認します。骨格に変形があれば、どの臓腑に影響が出ているかも推測します。

このように、望診を含む四診(望診、聞診、問診、切診)を通じて、鍼灸師は患者の体と心の状態を多面的に把握し、治療に必要な情報を得ています。
中医学の視点から内と外をつなぐ観察法が、患者の状態に合わせた治療の基盤となっているのです。

3.五感器官および舌、爪等の観察
眉毛の濃さから肝臓と腎臓の機能を判断し、目つきで心や肝臓機能を判断する。
顔色や皮膚の色を見て脾臓や消化機能を推測し、その他の診断法と組み合わせて病気の重症度を判定する
そのようにして、望診による身体と心の観察を行っています。
これらは、病院では診断されない病気(未病)を診る1つの方法です。
次回、聞診について!お楽しみに~

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