「聴覚と嗅覚で探る健康の手がかり:中医学の『聞診』と『問診』とは?」

お知らせ

中医学の診察法:聞診と問診で健康を深く読み解く

中医学では、患者の体の状態を総合的に判断するために「四診」(望診・聞診・問診・切診)という診察方法を用います。

今回はその中から、聞診問診に注目し、紹介します。

聞診:耳と鼻で探る体の声

聞診とは、音を聞くこととにおいをかぐことを通して体の状態を観察する方法です。聞診では、呼吸音、話し声の強さや質、咳の音、さらには体臭口臭も診断の手がかりになります。

聞診で観察するポイント

呼吸や咳の音:咳の音が深いか浅いかで、上気道炎か肺炎かを判断します。

声の質と強さ:話し声の力強さや質から、気力や精神状態を見極めます。声が弱いときは、エネルギーの不足や疲労を疑います。

体臭や口臭:においの質を観察し、どの五臓六腑に問題があるかを推測します。たとえば、酸っぱい臭いがする場合は肝に関係する問題が疑われます。

問診:生活背景から病気の原因を探る

問診では、患者の日常生活や身体の症状について詳細に質問を行います。

問診の目的は、患者の生活環境や習慣、自覚症状を知ることで病気の原因や進行状態を理解することです。

 

問診での主な質問内容

成育歴・既往歴:これまでの生活や病歴を知ることで、今の症状の背景を把握します。

食事・睡眠・排泄の状態日々の生活習慣が体にどのような影響を与えているかを確認します

痛む部位や自覚症状:どの部分に痛みがあるか、どのように感じているかを聞きます。

張景缶の「十問歌」

明代の医学者・張景缶は、問診のポイントを「十問歌としてまとめました。この「十問歌」では、患者の症状について次のような項目を順に確認します:

1. 寒熱の有無
2. 汗の出方
3. 頭痛や体の痛み
4. 排便の様子
5. 食欲の状態
6. 胸や腹の違和感
7. 聴覚や耳の異常
8. 口渇の程度
9. 過去の病歴
10. 病気の原因と考えられるもの

現代では、さらに睡眠や日常生活の細かい項目も追加し、患者の生活全般にわたって詳細に確認するようになっています。

聞診と問診で体の「寒証」と「熱証」を判別する

望診や切診などから得た情報も合わせ、体の寒い性質か熱い性質か)を判断することで病気の特性を見極めます。

たとえば、発熱と悪寒が同時にあるかどうかをチェックし、病気の進行具合や体内での病気の進行度を推測します。

次回、切診について!

お楽しみに~

 

 

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