『子宮内膜症リスクと食生活(柑橘類)』

『子宮内膜症リスクと食生活(柑橘類)』

アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、果物、特に柑橘類をよく食べる女性は子宮内膜症の発症リスクが低いという研究結果を発表しました(1)。

子宮内膜症とは子宮内膜以外のところに子宮内膜ができてしまう病気で、不妊症の原因になり得ますが、その程度や状態はさまざまで、とても複雑です。

実際のところ、子宮内膜症があっても、何の問題もなく自然妊娠できることもあれば、不妊症を引き起こし、治療を繰り返しても、なかなか、妊娠に至らないということもあるというのが現実です。

子宮内膜症、そのものを治療することは困難なことから、妊娠を目指していても、いなくても、予防、もしくは、重症化の予防がとても大切になってきます。

そんな背景から、これまで、食生活は子宮内膜症の発症と何らかの関連があれば、有効な予防
方法になるのではということで、多くの研究が行われてきました。

たとえば、イタリアのミラノ大学の研究者らはこれまでの実施された11件の研究結果をまとめています(2)。

その結果、子宮内膜症の女性は野菜やオメガ3脂肪酸の摂取量が少なく、反対に赤身の肉やコーヒー、そして、トランス脂肪酸の摂取量が多いと報告しています。

ところが、それぞれも研究方法が異なり、また、精度にもバラツキが大きく、結果の信頼性はそれほど高くはありませんでした。

そんな中で、今回のハーバード大学の研究は、約10万人弱の女性看護師を22年以上追跡した大規模コホート研究「看護師健康調査2」のデータを解析した結果で、もっとも規模が大きく、かつ、追跡期間が長い前向き研究です。

追跡開始時に子宮内膜症や不妊症でなかった対象者、70,835名に対して、1991年から4年ごとに食物摂取頻度調査票を用いて食品の摂取頻度と摂取量を回答してもらい、20年以上!、追跡してます。

そして、腹腔鏡による子宮内膜症との確定診断がなされたのは2,609症例で、果物や野菜の摂取量と発症リスクの関連を解析したところ、果物の摂取が多いほど子宮内膜症の発症リスクは有意に低かったというのです。

特に、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類で、はっきりとあらわれ、1日に柑橘系の果物を1個以上食べる女性は、週に1個も食べない女性に比べて、子宮内膜症のリスクが22%低かったとのこと。

さらに、栄養素でみてみるとβクリプトサンチンの摂取量と子宮内膜症の低リスクと有意に関連していたといいます。

βクリプトサンチンは、みかんや柿、オレンジに豊富に含まれているカロテノイドの仲間で、体内で必要な量だけビタミンAに変換され、強力な抗酸化作用があります。

文献)
1)Human Reproduction 2018, 33(4) 715-727
2)Reprod BioMed Online 2013; 26: 323.

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